消費者のみなさんにコーヒーを美味しく飲んでもらうためには、
お店や家庭での焙煎豆の保管方法が重要になります。
焙煎豆は、光、温度、水、酸素の影響を受けて、変質・劣化していきます。
生豆はとてもデリケートです。日光に当たることで温度や乾燥に影響を与えますので、保存場所などに注意が必要です。
温度が10℃上がると劣化速度は2倍になります。逆に、10℃下がると劣化速度は1/2になるそうです。 ただ、温度が下がると相対湿度が上がるので、冷蔵庫や冷凍庫に入れればいい、ということではありません。
水分の少ない環境で保存するために、バリア性の高い包材に入れシーラーをかけます。そうすると、新たに水分が入りにくくすることが可能です。さらに、脱酸素剤を封入すれば水分も消費されるので効果的です。
(焙煎豆をそのまま空気にさらしているとどんどん吸湿していき、劣化につながります。)
酸素濃度が0~1%で劣化速度が10倍変わってきます。
つまり、少しの酸素でも焙煎豆に与える影響が大きいということです。
焙煎豆を酸素から遠ざけねばなりません。
「ガス置換」や「脱酸素剤封入」が有効的な手段となります。
豆を挽いて飲んだ方が美味しいというのは多くの方が知っていますが、手間を考えると粉で保存しがちです。美味しさを重視するならてまでも都度挽いて飲む、豆での販売をオススメしたいところです。
通常空気の中には約20%の酸素が含まれています。この空気を含んだままシール機でシールをした場合、袋の中の酸素は20%のままです。バルブつきの袋に入れてシール機をかけた場合、袋の中の酸素は約3%までは減ります。
バルブつきの袋に入れても、酸素は袋の中に約3%は残ると言われているので、徹底的に酸素を排除するためには、バルブ付の袋だけでは足らないので「ガス置換」や「脱酸素剤封入」が必要になります。
冷蔵庫や冷凍庫は温度が低いので相対湿度は上がり、結果的に焙煎豆が吸湿してしまう水分の量は増えます。
ですので、冷蔵保管をする場合は、「ガスバリア性の高い包材に入れること」「密封する前、もしくは密封した後に酸素や水分を抜くこと」これらが大切になってきます。
どれくらい炭酸ガスを出す豆か(焙煎度合いによります)、
焙煎豆をどれくらい袋に入れているか、によって変わってきます。
「脱酸素剤の入った袋は、開封後すぐシール機で密封すること」「取り出した脱酸素剤は、重ならないように広げて置き、作業すること」未使用のものは、冷蔵庫に保管しておくと長持ちします。
使用する上で、みなさんが“お客さま”へ伝えるべきことがあります。
『脱酸素剤を入れたばかりの場合、脱酸素剤によって袋内の酸素が無くなるまでに時間かかかるので、「1日置いてから冷凍保存などをして下さい。」』
『脱酸素剤を封入することで粉の膨らみが悪くなることもありますので、「粉が膨らまないのは鮮度が悪いからではなく、鮮度のいい状態で炭酸ガスを抜いたからです。」』
『「脱酸素剤を一緒にミルで挽いてしまわないように気をつけて下さい。」』
上記の内容をお伝え下さい。
酸素は焙煎豆にとって、少しあるだけでもとっても悪影響を及ぼすもののようですので、少しでも美味しく飲んでもらうためには脱酸素剤はとても有効なものです。
■封を開けてからはなるべく早めに消費してもらいましょう
■光に当たらないよう、温度が上がらないよう保管してもらいましょう
■冷蔵庫・冷凍庫保管を実施する場合は
脱酸素、脱水分し密封してある袋の開封前の状態である場合に限ることを伝えましょう
冷蔵庫・冷凍庫から出した後、常温に戻してから開封してもらいましょう
※冷凍豆を常温に戻す前に開封すると、空気中の水分が焙煎豆にくっついて、
劣化を早めてしまいます。冷えたコップに水滴がつくのと同じ状態になってしまいます。